このコトを肝に銘じつつ、これから私達の運命に何が起こるのか、そしてどうしたらそのような事態から生き残ることができるのかを一緒に真剣に考えていきたいと思う。
私達の生活にどんな影響があるのか。
そこでまず最初に、世界大恐慌になった場合、最終的に私達の生活にどんなコトがふりかかってくるのかを大局的かつ長期的観点から見てみることにしよう。
まあいってみれば、「風が吹けば桶屋がもうかる」といった原因←結果を積み重ねていって私達の未来をのぞいてみることにしたい。
現在の世界経済の状況がどう考えても「全世界バブル」であることは、第一章の内容からほとんどのかたが納得されたことであろう。
とすれば、歴史のすべての例が示すように「バブルは必ず弾ける」わけであるから、全世界同時大暴落、ひいては世界大恐慌が起こる可能性は極めて高いといわざるをえない。
おそらくそれは二○一○年頃のことであろう。
世界恐慌になった場合、日本の経済はどういうことになるのか。
一つの例をあげれば簡単にわかることである。
日本で一番もうかっていて日本の製造業のシンボルともいえるあのトヨタでさえ、日本国内ではほとんど利益をあげていない。
国内の新車販売台数はどんどん落ちているのである。
トヨタがあれほどの利益を出せる原因こそ、北米や中国での売れ行きである。
世界大恐慌がやってくれば当然のごとく、アメリカ、中国の経済も吹き飛ぶ。
そしてトヨタも前のめりにつんのめる。
他の企業の状況は推して知るべしであろう。
ましてや、いまでもどうしようもない地方の景気はとんでもないことになる。
こうして日本全体が大不況に突入する。
日本経済が大不況に突入したらどうなるのか。
国の税収が再び大幅に減り、逆にバラまき(支出)はどんどん増える。
この二、三年で大幅に減った政府の借金増加額(減ったといっても増加しているのは間違いない)が再び大きく増えることだろう。
いまから四、五年前に中央政府(国)の借金だけでたったの一年で七八兆円も増えるというか〃異常事態″に陥ったことがあるが、そこまでいかなくとも、一年に五○兆円規模で増える時代が再びやってくる。
そうなったら、どういうことになるのか。
いまでもすでに中央政府(国)、地方自治体に財政投融資等を合わせた公的部門全体の借金総額は一二○○兆円といわれ、GDPの二倍を超えている。
大不況に突入する二○一○年頃にはすでに一三○○兆円に達しているであろう借金は、そこから再び加速度的に、というよりも爆発的に増加する。
毎年五○兆円規模で二○一○年以降、日本国政府の借金が増え続けたらどうなるのか。
おそらく二○一五年頃にその額は一五○○兆円という気も遠くなるような高見に到達するであろう。
そしてこの一五○○兆円こそ、重大な数字なのである。
かつて日本国はもういまから六○数年前のことであるが、アメリカと戦争をして負けたために国が破産し、預金封鎖という非常事態に追い込まれたことがある。
昭和二一年(一九四六)年二月のことである。
実はその時の政府の借金総額がGDPの三倍だったのである。
つまりGDPの三倍という借金は政府が耐えられる限界を意味している。
ちょっと信じがたい話だが、私達の住んでいるこの国自体がこのままいけば、二○一五年頃に全く同じ状況に陥りそうなのである。
そのすべての原因こそ、世界大恐慌であり、さらにその元となるのがいまの「全世界バブル」なのである。
こうして国が破産した場合、さらにその次に私達を待ちかまえているものは何か。
それこそ、究極の経済状況ともいうべき、「スーパー・スタグフレーション」なのだ。
しかし、スーパー・スタグフレーションといわれても一般の人にはどういう状況かよくわからないだろう。
そこで一つのすさまじい例をお見せしよう。
それこそ戦後最大の経営の神様といわれたあのMの例である。
松下幸之助は日本人ならば誰もが知っている「戦後最大の経済上の成功者」といってよいだろう。
しかし、次の逸話はほとんど知られていない。
実は彼は昭和二五年(一九五○年)の正月に一番親しい側近に次のような言葉を関西弁でもらしているのである。
「ウチの会社も年末までもたへんかもしれんなぁ−」。
途方もない額にふくれ上がる後に日本最大の会社の一つへと大発展することになるあの松下電器もいまから六○年近く前の一九五○年正月には潰れかかっていたのだ。
その最大の原因こそ、スーパー・スタグフレーションだったのである。
スーパー・スタグフレーションとはわかりやすくいえば、不況下のインフレということになる。
普通景気が悪く不況になるとデフレになるので物価は下がる。
九○年以降の日本のバブル崩壊後の十数年においてはその通りのことが起きた。
実際、物価はどんどん下がったのである。
しかし、敗戦直後の日本は政府が破産していたため、通貨が暴落してハイパーインフレとなり、不況下のハイパーインフレという史上最悪のことが起きていた。
それで、あの松下電器の経営もどうしようもなかったのだ。
それと全く同じことが今後、起きそうなのだ。
つまり、こういうことだ。
世界恐慌がやってきて世界中が不況なので日本も不況になってしまうが、日本だけ他の諸外国と違うのは、日本は先ほどからいっている通り、政府の借金が大きすぎるので二○一五年頃にその限界のGDPの三倍に到達し、国内的にはハ世界中で食糧争奪戦が巻き起こるそこで、世界経済全体としてはどうなるかを、かなり大きな視点から見てみると、ハイパーインフレとなってしまうのだ。
やはり不況下のインフレ、しかもそれも並のものではないとんでもない上昇率のハイパーインフレなのだから、たまったものではない。
給料があまり上がらないのに生活必需品の値段だけどんどん上がったらどうなるか。
人々の生活は破壊され、会社の経営も困難を極める。
あなたの給料も吹き飛ぶ。
つまり、いま現在の全世界バブルは「恐慌経由国家破産」という大惨事を引き起こし、回り回ってあなたの給料を吹き飛ばし、あなたとあなたの大切な家族の生活をコナゴナに破壊する。
とすれば、私達は備えなければならない。
しかし、その生き残り策を考える前に、さらに詳しく本当に何が起きるかを見てみよう。
まず、恐慌が全世界規模で起きるということは、世界全体で「資産デフレ」が起きるということだ。
つまり、株や不動産の価格が大きく下落、どころか大暴落することだろう。
すると富裕層の含み資産が大きく減るだけでなく、会社の資産も大きく減少する。
さらに消費その他も大きく落ち込むため、一般の企業の売り上げも大きく減り、利益も吹き飛ぶ。
最終的に人々の給料もガクンと落ちる。
最悪、クビという運命が待っている。
すると、九○年代から最近までの日本のように全面的デフレに突入し、ほとんどの物価が下がることになる。
しかし、しかしなのである。
今回の世界大恐慌においては、不思議なことに、全くそうはなりそうもないのである。
なぜかそれは次の事実を見れば納得できる。
私達はいまや、人類八○○○年の文明の歴史の中で全く初めてのコトを経験しようとしている。
ある意味でそれは私達にとって〃未体験ゾーン〃である。
極端ないい方をすれば、未知との遭遇といってよい。
では、その正体とは何か。
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